2023-01-01から1年間の記事一覧
きみの瞳に降り注ぎ きみの体に降り注ぎ 青く 蒼く ただ、どこまでも遠くまで続くこの空に ただ時折通り過ぎてゆく小さな影に まばたきだけ 鳥が鳴き 突然の雷鳴に きみはゆるやかに 思う存分 その手足を自由に伸ばす 慌てて閉めた窓に叩きつける雨粒に きみ…
井の中に 蛙を落としたのはナニモノだろう 井の中で 蛙は見上げる ひび割れたように眩しい空を 「オマエ は ウミ を 見たたことなどナイダロウ」 木枯らしよりも カラカラと 憐れな音を立てて ナニモノか達は 井の中の蛙を見ては 嗤う 蛙は上を見上げ続けて…
真綿の原 軽やかに まだ眠る 木々 花の芽 寒い寒い凍てつく冬に逆らわず 春の陽を 風を 光を待ちながら もうすぐ春だよ 真綿の原 先に咲くは 無邪気な仔犬の歓びの歌 はずむように 描かれた 花のような足跡 音階が咲き乱れる 春を呼ぶ楽譜のよう 雪がしんと…
薄氷を幾重にも重ねたように危うく張り詰めた夜空。 銀色にやわらぐ六花が降りてくる。 ふわり ふわり 斬りつけるような冷たさを 夜空のどこに置いてきたのか。 髪に、肩に、頬に 六花は、輪郭を失いながら この身に染み入るように 冬の形を溶かしてゆく。 …
分厚く透明な 氷の窓が 寒々と 数多の景色を囲むような 夜。 銀色の月が、ぽかりと浮かぶ 深闇の中。 しゃらしゃらと降るのは、氷の窓を削り、月明かりを纏った六花。 ひとつとして同じ形のない冬の花。 肩に落ちて儚く消えていくその月灯の結晶を、ただぼん…