kagishippogizashippo’s blog

空の色を映して流れていく雲と風

2022-01-01から1年間の記事一覧

空の歌 秋の声

細かくちぎれてゆく雲が、 まるで空に描かれた五線譜のような電線に、きままな音階を刻んでゆく。 風が歌う。 雲が次々と五線譜を滑り、あるいはとどまり、そして新しい空の音を紡いでゆく。 透明に高く、かぎりなく高く広がる空は、いつまでも歌う。 空の声…

昔、 海の色は空の色を映しているから 青いんだよ と、誰かが教えてくれた。 海が揺れる 白く波を吐き出す 自分で触れる空 白い波は重くて 手で触ると 透明な水になる。 わたしの色を海の鏡は映さない。 濃い青が揺れる 私の輪郭がそこにあるようで。 海の色…

きみの世界

その瞳に映るもの。 平凡な空。 風の波に 列を成して流れていく渡り鳥。 塀に寄りかかるように 時折首を揺らす名前も知らない花。 屋根の上で跳ね回るのはきっと烏。 小さな窓から見える水平線。 毎日が同じ事の繰り返しなのに…。 心の呟きは、きみには届か…

何億年前から 一度も同じ色だった事はない そんな空を見ていると なぜだろう 自分が好きな景色が増えていく

りんかく

影が色濃く その輪郭を見せつけるように鋭利なのは 強く輝く光のせいなのか 光りがその影を ゆるり ゆぅるり あたため つつみ溶かして 張り詰めた輪郭をやさしくほどく 溶け合う夕闇 白い雲が 流星のように尾を引いてゆく とけた りんかくは そこにはもう み…

夜のむこう

蝶の片翅のように ひらり 海に横たわる白い月の影 アカシアの花こぼれるように 海と空を埋め尽くす星 透明な夜の果て 金のナイフが天と地を割くように 朝が空の向こうから現れる やがて満ちていく時を導く 上限の月

下弦の月

しゃらしゃらと しゃらん と 月光を解くように 東の夜空に滲む 影が月を覆い 薄く 白く 穏やかに ぽかんと浮かぶ 新月に向い、西へと傾く 朝の帷が包み込み、 銀の光は白く白く 海の蒼に沈んでゆく 下弦の月は 新月の夢を見ながら そこにある ただ、そこにあ…

満月

山から降りてくる風が 縦横無尽に駆け回る。 空には薄衣を纏う銀の月 海に向かって走る山風。 夜の闇。闇よりも深い視線の向こう 黒く沈む海に銀の飛沫。 今宵 満月 風はやがて月に向かう。 薄衣が、真綿のように頼りなく揺れて。 朝に近づく月の色。 白く …

空の海

真っ黒い空が割れ 海に潜ったような水のカーテン越し やがて海に蒼いろを写す天井 きゅきゅきゅ と、 小さな蛙の歌。 きゅ きゅきゅ きゅ きゅ きゅきゅきゅきゅきゅ きゅよ きゅよきゅよ きゅよ 歌が土に染みていく。 近くにある海の蒼 ゆれる空の蒼。 見上…

一日

さらさらと、さらさらと 砂つぶのような細かな雨が いまが いつなのか 探す視線から 目隠しするように薄い幕を 空からおろす。 やがて、幕は色を濃くし、 真新しい、やわらかな画用紙のように影も光も音も すべてを覆い かぷ けぷ くぅぅる かえるの一声が、…

雨の日の午後

朝から降りつづく雨が 全ての色を、音を流して時間の流れを包み隠す。 午後、鳥の声が遠くまで響く。 泡の中にいるかのように、 景色がぼんやりと白む。 外から入り込む静寂。 ねこの寝息。 自分の鼓動。 鳥の声がまた遠くから運ばれてきて、 いつしかそれは…

猫のあしおと

結膜。 おひさまに木の芽をとかしたような。 虹彩。 光を追いかける。 瞳孔。 新月のように細くなる黒の瞳。 綺麗な目には何が映る? 空は何色? 夜の空には星がいくつあるの? 風は見える? 問いかけてみても、その瞳に映るのは わたしの輪郭。 ゆっくりと…

造語、他、当て字などについて

じつに野暮だとは思いますが、 自分が目や耳や肌で感じた事を表現するのに、どうしてもうまくはまらない事があります。 一字、一句、改行などにも自分なりの必要な空白や、リズムを使う事で、 美しい、素敵だ、好きだ そう感じた事を、見せられないジレンマ…

昨夜の海

空と海との境界が消えて、 風もないのに どどぅっ と、海が鳴る。 白い月が 黒い帷にぽっかりと穴をあけている。 どどう。 海が鳴る。 海を震わせるのは 見えぬ海底 ーうみそこー か 海のてっぺんにうさぎが走る。走る。 月の色まとい、波間を走る。 どどぅ …

街の空色

街路樹はまるで箱庭に置くようなあたりまえの色をして。 ビルの隙間から見える空も、 街路樹からこぼれる空も、 まるで大きな刷毛で両腕いっぱいに塗り上げたように遠く青く眩しく。 都会の空は狭いと感じるものだろうか? 今見える空は、必ずどこかにつなが…

雫のゆくえ

山を伝い 行き場のない岩を滑り、 屋根ではじけ、 窓を叩き 時折りざわめく緑の香含む空気に誘われ、 やがて海へと。 重たげな曇天もようを描いた空が あくびをするようにわれていく。 また、いっそう息を奪うようなむせぶ空色に還る飛沫。 夏はまだ少し向こ…

夏の音

土に呼ばれて雨が降る。 急なお召しに装う間さえもなかったようで。 空の色 雲の色 山の色 木木の色 空に振り落とされたか、 雲にしがみついていた名残の水の尾を引いたか、 山は静かに佇まい、 木木は枝を伸ばし、 葉は波打ち緑を揺らし、 土は柔らかく、た…

山 色溢す

山 目覚め まどろむ。 音も色も熱も 真雪 ーましろー の下に埋もれた 人の瞬きよりも短い季節は、 ゆるやかに山から色を零していく。 たんぽぽも、ポプラも、柳も 空から貰ったひとときの眠りから覚めて 真綿色の軽やかな命を返し始める。 ほら、空に帰って…

花を揺らす

緑の香をたっぷり含んだ風が、 今にも咲こうとしている花の蕾を揺らしながら、さやりと通り過ぎて、さらさらと葉を撫でていく。 いい天気だね。 夜、どこまでも遠く透明な白い月。 手を伸ばしたら、指先に空の落とし物のようなひんやりとした風が流れていっ…