冬に六花 舞い上がり舞い散る
分厚く透明な 氷の窓が 寒々と
数多の景色を囲むような 夜。
銀色の月が、ぽかりと浮かぶ
深闇の中。
しゃらしゃらと降るのは、氷の窓を削り、月明かりを纏った六花。
ひとつとして同じ形のない冬の花。
肩に落ちて儚く消えていくその月灯の結晶を、ただぼんやりと見つめる。
上を見上げると、まるで夜空に吸い込まれていくようで。
六花が降る 降る。
一陣の風に軽やかやに舞う。
身体ごと、一緒に六花と空に帰ってしまいそうな。
不思議な景色。
髪に、肩に、てのひらに。
真綿を包むは月の光。
こんなに美しい 白
いっそ、六花に埋もれて、春に誰かを癒すような、白い花に生まれかわれたのなら…