春の聲
真綿の原
軽やかに
まだ眠る 木々 花の芽
寒い寒い凍てつく冬に逆らわず
春の陽を 風を 光を待ちながら
もうすぐ春だよ
真綿の原
先に咲くは
無邪気な仔犬の歓びの歌
はずむように 描かれた
花のような足跡
音階が咲き乱れる
春を呼ぶ楽譜のよう
雪がしんと広がる大地
真っ先に春を知らせたかった
香りを放つ 梅の花
薄く蕾を揺らして微笑う
ほら、
春が来る
仔犬の音符は自由に舞う
足跡は 地に咲く六花
春を呼ぶ
やわらかな陽射し
風も 空も
地に咲く六花に微睡みながら
春が来るよ
もうすぐだよ
楽しいよ
さあ、目をあけて
春がそこにいるよ
新しい春を運ぶ花はやがて色をつけ
それぞれに美しく
上を向いて誇らしく
春を知らせるだろう