kagishippogizashippo’s blog

空の色を映して流れていく雲と風

2022-06-01から1ヶ月間の記事一覧

一日

さらさらと、さらさらと 砂つぶのような細かな雨が いまが いつなのか 探す視線から 目隠しするように薄い幕を 空からおろす。 やがて、幕は色を濃くし、 真新しい、やわらかな画用紙のように影も光も音も すべてを覆い かぷ けぷ くぅぅる かえるの一声が、…

雨の日の午後

朝から降りつづく雨が 全ての色を、音を流して時間の流れを包み隠す。 午後、鳥の声が遠くまで響く。 泡の中にいるかのように、 景色がぼんやりと白む。 外から入り込む静寂。 ねこの寝息。 自分の鼓動。 鳥の声がまた遠くから運ばれてきて、 いつしかそれは…

猫のあしおと

結膜。 おひさまに木の芽をとかしたような。 虹彩。 光を追いかける。 瞳孔。 新月のように細くなる黒の瞳。 綺麗な目には何が映る? 空は何色? 夜の空には星がいくつあるの? 風は見える? 問いかけてみても、その瞳に映るのは わたしの輪郭。 ゆっくりと…

造語、他、当て字などについて

じつに野暮だとは思いますが、 自分が目や耳や肌で感じた事を表現するのに、どうしてもうまくはまらない事があります。 一字、一句、改行などにも自分なりの必要な空白や、リズムを使う事で、 美しい、素敵だ、好きだ そう感じた事を、見せられないジレンマ…

昨夜の海

空と海との境界が消えて、 風もないのに どどぅっ と、海が鳴る。 白い月が 黒い帷にぽっかりと穴をあけている。 どどう。 海が鳴る。 海を震わせるのは 見えぬ海底 ーうみそこー か 海のてっぺんにうさぎが走る。走る。 月の色まとい、波間を走る。 どどぅ …

街の空色

街路樹はまるで箱庭に置くようなあたりまえの色をして。 ビルの隙間から見える空も、 街路樹からこぼれる空も、 まるで大きな刷毛で両腕いっぱいに塗り上げたように遠く青く眩しく。 都会の空は狭いと感じるものだろうか? 今見える空は、必ずどこかにつなが…

雫のゆくえ

山を伝い 行き場のない岩を滑り、 屋根ではじけ、 窓を叩き 時折りざわめく緑の香含む空気に誘われ、 やがて海へと。 重たげな曇天もようを描いた空が あくびをするようにわれていく。 また、いっそう息を奪うようなむせぶ空色に還る飛沫。 夏はまだ少し向こ…

夏の音

土に呼ばれて雨が降る。 急なお召しに装う間さえもなかったようで。 空の色 雲の色 山の色 木木の色 空に振り落とされたか、 雲にしがみついていた名残の水の尾を引いたか、 山は静かに佇まい、 木木は枝を伸ばし、 葉は波打ち緑を揺らし、 土は柔らかく、た…

山 色溢す

山 目覚め まどろむ。 音も色も熱も 真雪 ーましろー の下に埋もれた 人の瞬きよりも短い季節は、 ゆるやかに山から色を零していく。 たんぽぽも、ポプラも、柳も 空から貰ったひとときの眠りから覚めて 真綿色の軽やかな命を返し始める。 ほら、空に帰って…

花を揺らす

緑の香をたっぷり含んだ風が、 今にも咲こうとしている花の蕾を揺らしながら、さやりと通り過ぎて、さらさらと葉を撫でていく。 いい天気だね。 夜、どこまでも遠く透明な白い月。 手を伸ばしたら、指先に空の落とし物のようなひんやりとした風が流れていっ…